クラスメートの父親は事業の失敗で借金苦に
今でも時々思い出すのは、高校時代のクラスメートが突然遠方へ引っ越していったことです。
すごく仲が良かったというわけではありませんが、あいさつもそこそこに、遠くの親戚のところへ行ってしまったので非常にショックを受けました。
理由は父親がしていた事業の失敗だったといううわさでした。
学生だった私は何も出来ず、ただ元気でいてほしいと願うのみでした。
景気もよくなる一方の時代でしたが、そのようなことはどこでも起こっていたのだなと今になって思います。
当時は、突然のことに、借金苦だなんて呆然となっていました。
高校3年の一学期が始まったばかりの頃でした。
卒業まで、慣れ親しんだ校舎で、気心の知れた友人たちと、どんなに過ごしたかったろうにと、今でも胸中を思うとつらい気持ちになります。
父親は債権者からの取立てから逃れるため、一時身を隠していたようですが、借金苦にあえぎながら、返済のために、身を粉にして働いておられたとのことです。
家族もそれぞれ散り散りになり、苦しい日々を送っていたようです。
友人は奨学金を得て大学へと進学し、住み込みの新聞配達の奨学生となって、大学を卒業したとききました。
若さだけでのりきれたものの、仕事は辛く、サークルやコンパとは一切無縁の大学時代だったとのことでした。
バブルに浮かれていたあの時代に、そんなふうに借金苦でも頑張っていた学生もいたのです。
その後、一般企業に就職し、幸せな結婚をしたそうです。
高校以来、一度も会っていないのに、ずっと気になる存在で、なぜか消息がつたわってくるのも不思議な縁です。