子供のころの「電話に出ない」ルールは借金苦が原因
私が小学生の頃サラリーマンだった父が仕事を辞め、知り合いと一緒に建設会社を立ち上げました。
バルブの頃だった事もあり会社は順調に成長し、特に不自由なく生活を送っていました。
しかしバブルが崩壊。
父の会社も途端に営業不振。
ひいては存続の危機に晒されてしまいました。
借金苦のスタート。
幼い私達は何が起きているのかよく分からず、時折口げんかをするようになった父と母を見るのが悲しかったのを覚えています。
その後、母から奇妙な「ルール」を教わりました。
それは「電話に出ない」事でした。
ただ単に出ないのではなく「コールが3回鳴って切れたら次は電話に出てね」というルールで子供心におかしいなぁ・・?とは思ったのですが
その時は母の親心に気づくことは出来ませんでした。
気が付いたのはそれから数ヵ月後。
母が電話に座布団を当てて聞こえないようにしているのを見てしまってから。
母は借金返済の電話を私達子供が聞かなくてすむように「奇妙なルール」を作ったのでした。
その後会社は立て直す事が出来ずに倒産してしまい、祖父から譲り受けたと言う家と土地を売却して借金を返済し小さなアパートに移り住みました。
借金苦が本格的に始まりました。
取引先に頭を下げに行く父と借金苦でやつれた母の姿が強烈に印象に残り、それが原因なのか私達兄弟は未だに「自宅にかかってくる電話」を取る事が出来ません。
電話が鳴っていても聞こえていないかのように振舞ってしまいます。
勿論借金・ローンの類も大嫌いで色々苦労はありますが後悔しない生き方をしています。
今私達の夢は、未だにアパート暮らしの両親の為に家を建てることです。
さすがにその時はローンを組まなくてはいけないでしょうが、辛い借金苦の記憶が夢のある借金(ローン)の記憶に変わればいいなぁと思っています。